ものを見る
あなたは幽霊の存在を信じますか?
と聞かれて「見た事ないから信じない」と言う方もいらっしゃると思います。
私達は、目の前にあるものが全て真実で、目の前にないものが全て真実ではないと捉えがちですね。
真っ暗では何も見えません。物が見える時には必ず光が必要です。
光が物にあたって「反射した光」が目に刺激として入り「見えている」、つまり視覚情報は「光が物にあたって反射した光量の差」なのです。
実はこれだけでは「見えた」と言えません。この視覚情報は、まだ意味をなしていないからです。
視覚情報は、脳の視覚を司る場所に送られ、その映像情報に対して色形と言った「意味づけ」をします。
その上で今度は、自分が持っている経験の記憶や知識を照らし合わせて「今見えているのは○○だ」と認識しています。
カメラで言えば、目はただのレンズの役割しかしておらず、写真になるためのフィルムやネガ、デジカメで言えば記録メディアに相当するものは全て脳が担当しています。
つまり、「脳が見ている」と言えます。
同じ長さの2本の線が並んでいて、矢印の矢の向きが普通のものと、逆に外側にVになったものでは外側にVになった矢印の方が長く見える「目の錯覚」を利用した図を見た事はありませんか?
2つの線の物理的な真実は「同じ長さ」なのに、目で見えたものは「違う長さ」です。
このように目の錯覚は、脳が形を認識する際に、記憶や知識を照らし合わせて判断した結果であり、「真実をそのまま見た」ものではない事が解ります。
他にも、見えている中に一部見えない空白領域があると、脳が記憶や知識を使ってその空白領域を埋め、「全部見えた事にする」事も知られています。
これらの事から、「見えている事がそのまま真実」とは言えない事が解りますね。
また、脳の記憶や知識は人によって違います。
そのため、視覚情報から「何であるか」認識する脳の処理も、人によって違って来る事が理解できると思います。
Aさんが見えないものがBさんには見えると言う事も有り得る訳です。
幽霊の存在有無は別として、目が全ての真実をありのままに見ていて、それは万人共通だと言う考えは逆に「非科学」なのかも知れないですね。
[1]週刊ココロコラム
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