好きな子をいじめる男の子
小学生の時、クラスにひとり位「好きな子をいじめる男の子」がいませんでしたか?
いじめられた女の子は乱暴で粗雑な態度ばかりとる男の子を好きになるのは難しいでしょう。
冷静に考えると逆効果で不毛な愛情表現ですよね。(^_^;)
子供だから感情が発達していないせいだ、と思うでしょう。
ところが、大人になった私達も、実は日常的にこの男の子と同じ事をしているかも知れません。
「慇懃無礼」と言う言葉があります。
意味は「表面は丁寧で礼儀正しいように見えるが、実は尊大で無礼なこと。また、そのさま。」
心理学で「反動形成(reaction formation)」を知る際に、この慇懃無礼が良く引き合いに出されます。
反動形成とは、(許されない、または受け入れがたい)自分の感情や考えを抑えるために、逆の態度をとってしまう事です。
慇懃無礼も、いじめる男の子も反動形成の典型的な一例です。
大好きな上司と喋る時はタメ口も入るけど、嫌いな上司に対してはやたらと丁寧な言葉で話す。
ホントは苦手な人だけど仲良くしている(または、嫌いな人だが表面上仲良くしている)。
好きな相手に対して、つい事務的な態度やクールな態度をとってしまう。
このあたりは序の口です。
自分の本当の感情・考え・欲求が、自分の観念や道徳観、世間の常識から外れていると無意識的に強く感じている場合の反動形成は、なかなか手ごわいです。
例えば、「今の仕事を嫌いになってはいけない」「仕事を辞めるのは常識ハズレ」と思う気持ちが強いと、仕事が嫌いだ、仕事を辞めたいと言う自分の本当の気持ちがあっても気付きたくありません。
なぜならば、自分の本当の気持ちを認めることは、自分を否定する事になるからです。
そして、心の奥底に「なかった事」として押し込むための手段として、反動形成で仕事を一生懸命、なかば強迫的に頑張過ぎてしまうのです。
他にも、「親は大切にしないといけない」と思っているのに親を憎む気持ちを持っていたら、人一倍親思いになるでしょう。
「セックスは汚い事」「セックスはいけない事」と思っているのに性欲があるならば、強いプラトニック志向になるでしょう。
「プライドが高いのは良くない」と思っているのにプライドが高いならば、自分を卑下するタイプになるでしょう。
このようなカラクリで、自分の思いを「なかった事」にしてしまうため、ホントの自分の気持ちに気付かなくなります。
勿論、その反動で正反対の態度をとっている事にも気付きません。
先の「仕事」を例にとると、ふっと疲れている自分に気付き、何となく違和感に気付いたとしても、その正体にはなかなか気付きません。
「自分がどうしたいのか解らない」なんて思いになってしまう事もあるでしょう。
自分を縛っているたくさんの「観念」に気付き、少しずつ捨てる事が出来れば本当の自分をみつけられるかも知れませんね。
[1]週刊ココロコラム
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