面白い事
高校時代、クラスメートのひとりが私の顔を見るといつもつぶやく事がありました。
「あ〜あ、何か面白い事ないかな〜。ねぇ、面白い事何か知ってる?」
彼女はルックスも良く、成績優秀スポーツ万能、友達も多く彼氏もいて、バンド活動もやっていて、お金持ちだったのでブランド品をたくさん持っていました。
私が「え〜。面白い事?いっぱいあるよー♪(心の中ではドラマや大好きなアイドルや漫画や放課後の寄り道やら次々と浮かぶ)」と言うと
「いいなぁ。よいこさんは毎日楽しそうで・・・。」とため息交じりで返すので、どう答えて良いか解らず絶句していました。
留年ギリギリの成績だったデブの私から見れば羨ましい限りの彼女が、何故そんなに冷めた事を言うのだろうと不思議に映っていたものです。
今にして思えば、彼女は「心」が充足していなかったと推測されます。
心の充足や満足は、強い刺激、強く興味を持つ物事、夢中になれる事、やりがいのある事、達成感などで得られます。
しかし、強い刺激が続くと強い刺激ではなくなりますのですぐに飽きてしまいます。(余談ですが、これが依存症に関係してきます。)
欲しいモノを手に入れたら心の満足が長期間続くかと言うと、そうでもありませんね。
行動のための原動力のひとつに「動機」があります。
報酬が得られるから働くとか、親から言われるから勉強する、と言った動機の元が「外側」にあるものを「外発的動機づけ」
その仕事が好きだから働くとか、疑問が解消されるのが楽しいから勉強する、と言った動機の元が「内側」にあるものを「内発的動機づけ」と言います。
強く興味を持つ物事、夢中になれる事、やりがいのある事は自分の内面から湧き出る動機です。
また、目標を定めそれに向かって努力して得られる達成感も「外側」ではなく「内側」からの方がその充足感は強いかも知れません。
一般的に、外発的動機づけよりも内発的動機づけの方が、質の高い行動が長く続くと言われています。
先の彼女は多くのものを備え多くのものを持っていました。
もちろんそれらを手に入れるために努力をされてきたと思います。
ここからは個人的な見解ですが、出来るまでの過程や出来た時の達成感は、最初から出来てしまう人とそうでない人の心の満足度は違うでしょう。
たくさんの高級品を持ち、新しいモノも簡単に手に入る環境にあれば、モノを手に入れた時の満足感は薄いでしょう。
別の見方をすれば、出来ない事や持てない物が多い方が、それらを得ようとする過程や実際に得た時の心の満足や充足を十分に堪能できると言えるでしょう。
最初から美人やイケメンより、綺麗になろうと頑張っている女性や、格好良くなろうと努力している男性の方が
最初からお金持ちで何でも手に入る生活よりも、お金を一生懸命貯めて念願の車や海外旅行を手に入れる方が
心の中の充足度が強い=幸せを実感するのではないかと思います。
さらに、強く興味を持つ物事、夢中になれる事、やりがいのある事を自分で発見し、内発的動機づけに出来る事が幸せにつながると考えています。
ちなみに、高校生は自分の存在価値やアイデンティティ(自己同一性・自分が自分である事)の確立、これから進むべき道などで悩んだり迷ったする多感な年頃です。
彼女の「面白い事」を探す姿勢は、多感な年頃特有の内面のもやもやに対して心の充足を求めていたのかも知れませんね。
[1]週刊ココロコラム
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