氷山のようなココロ
ある20代後半の女性の話。
「そろそろ結婚しろって親もうるさいし、周りもどんどん片付いてるから焦ってるの。」
ある20代前半の男性の話。
「今の会社は給料少ないし、コキ使われるし上司も嫌なヤツなんだ。他にいい所、ないかなぁ。」
ある10代後半の女性の話。
「親がうるさいから早く家を出て一人暮らししたいんだけど。」
友人や知人がこんな話をしていたとします。
彼らは「結婚したい」「転職したい」「一人暮らししたい」と言っていますね。
話を聞かされた側としては「思い切ってお見合いしたら?」「他の会社、探したら?」「部屋探ししたら?」などと後押しの言葉をかけてあげるでしょう。
すると「うーん・・・。でもさぁ」等と、今度は求めているものに対して「出来ない」理由を話し出します。
聞かされた側は「なんだ、それほど本気で思ってないんだ」と感じますが、本人は案外真剣に望んでいます。
実際はケースバイケースですが、結局は話していた「自分の望み」通りの行動をしないパターンに落ち着きます。
恐らく皆さんにも心当たりがあるのではないでしょうか。
私達が物を考えたり、記憶したり、感情が変化する時はきちんと自覚があります。これは「顕在意識」の心の動きです。
無意識や寝ている時など自覚がない意識は「潜在意識」と言います。
顕在意識での思考や記憶、感情は潜在意識にも取り込まれていますが、潜在意識の情報はなかなか顕在意識には上ってきません。
別の言い方をすると、潜在意識にある思考や感情は自分でなかなか気付かないのです。
顕在意識と潜在意識の関係で良く例えられるものが氷山です。
ご存知のように氷山は海から顔を出している部分に比べて海の中の方が断然大きいですね。
海から顔を出している部分は顕在意識、海の中が潜在意識です。
顕在意識と潜在意識が正反対に考えていたり感じている事は良くありますが、2つの意識の割合が大きく違うため、顕在意識でいっぱい考えても潜在意識で少し感じている事が優勢になってしまいます。
20代後半の女性は、顕在意識では「結婚したい」と思っていますが、潜在意識では結婚すると自由がなくなると思っています。
20代前半の男性は、顕在意識では「転職したい」と思っていますが、潜在意識では転職で新しい環境や人間関係の構築に煩わしさを感じています。
10代後半の女性は、顕在意識では「一人暮らししたい」と思っていますが、潜在意識では経済的不自由さは嫌だと思っています。
顕在意識で強く望んでいても潜在意識でそれを否定していれば行動にブレーキがかかります。
しかし本人は潜在意識の情報に気付いていない事が多いため、別の否定要素を引き合いに出す場合があります。
今回の例に限らず、「思ってるけどなかなか出来ない」とか「解っているけど辞められない」と言った類にはこういったカラクリもあるのです。
心の奥が潜在意識だとすると、心の奥にある自分の意思は自分でしか気付く事が出来ません。
そのためには自分の心を観察すると共に、自分自身に問いかけてみる事も有意義かも知れませんね。
[1]週刊ココロコラム
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