白と黒

高校時代の友人で、とても几帳面な人がいました。
無遅刻無欠席、もちろん忘れ物なし、宿題や課題の提出期限を厳守、制服もいつもパリっとしていました。
毎日遅刻をし、昼休みに購買やコンビニに突っ走っていた私とは対照的です。^_^;
その友人はとても義理堅く冗談も良く言っていましたが、真面目で常識的で品行方正な所があり、一度も羽目をはずした姿を見ませんでした。

真面目で几帳面なタイプは、裏を返すと「ちゃんとしないといけない」と強く思っている傾向があります。
遅刻をしてはいけない、約束を破ってはいけない、常識を守らないといけない
これら社会のルールを守るのが社会で生きるためには必要な事です。
しかし、何事に対しても「〜でないといけない」と言う考え方になると話は別です。

真面目でなければいけない、与えられた仕事は全て完璧にやり遂げなければいけない、学生は勉強をしなくてはいけない、良い人でなくてはいけない、女性は女性らしくしないといけない、男は男らしくないといけない、母親は母親らしくしないといけない、漫画の単行本は1巻から順に本棚に並べないといけない、洗濯物のたたみ方はこうでなくてはいけない、目玉焼きはしょうゆでなくてはいけない・・・・

書き出すときりがありません。
「○○でないといけない」は、○○以外は全部「いけない事」だと自分で取り決めています。
つまり、○○が「白」ならば、それ以外は全て「黒」だと言う二極化した思考です。
物事全てが、自分の価値観で決めた「白」にぴったり当てはまるとは限りません。
ほんの少し黒が混じった限りなく白に近いグレーでも「黒」と判断し、「自分はいけない事をした」と感じてしまいます。

「〜でないといけない」思考を持つ人は、どんな些細な事でもそれを守ろうと必死になるため普段から精神的な余裕がありません。
その上、自分の決めた枠から少しでもはみ出ると「駄目」だと感じ、劣等感や無力感にさいなまれ大変ストレスをためやすいと言えます。

さらには、他人に対しても「〜でないといけない」思考で物事を判断します。
自分とは個性や考え方が違う他人が、自分の価値観通りの行動をする事は少ないです。
すると「〜でないといけないのに、この人はしてくれない」と大変不愉快になります。
このタイプの多くの人は、「自分はいい人でないといけない」と考えている傾向がありますので、不快感をはっきりと態度に出す事はまずありません。
それがまた、残念ながら強いストレスになってしまいます。

自分で決めた「白」以外は全部「黒」と言う考え方は、自分の心をきつく縛り付けていますので当然苦しいです。
そんな考え方を持つ人は「白と黒の間にグレーがあるよ」と自分に言い聞かせてみて下さい。
感情的に理解出来るようになれば、心を縛り付けていた縄が解けて「ホッ」とする事でしょう。
[1]週刊ココロコラム
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