対処能力・その1〜ストレスのホントの所〜
ストレスと言う言葉は良く使われますが、その実態は案外解り辛いですね。
ストレスが具体的に何なのか、今回は心理学者ラザルス(Richard S. Lazarus)が1984年に発表した説を使ってご紹介します。
ストレス(stress)の英単語は、圧力、圧迫、応力、緊張、と言った意味があります。
本来は「物体に圧力を加える事で生じる歪み」と言う物理学で使われる言葉でしたが、その後心理学の世界で「心や体にとって負担となる外的刺激が加えられる事で生じる心や体の歪んだ状態」と言う意味で使われるようになりました。
心や体にとって負担となる外的刺激、つまり「ストレスがたまる要因や原因」はストレッサーと呼ばれます。
ストレッサーは物理化学的(暑い・寒い・臭い等)、生物学的(病気・怪我・疲労等)、社会的(経済情勢・職場・学校環境等)、そして精神的ストレッサーが挙げられます。
暑い・寒いや疲れ、睡眠不足、病気や怪我などの身体的なストレスは、その原因を取り除いたり治療を行えばなくなります。
しかし、精神的なストレスは簡単にはなくなりません。
ラザルス等が説いた精神的(心理的)ストレッサーの種類は大きく分けると3種類あります。
1.カタストロフィー(catastoroph)
天変地異や大災害・大震災など人智の及ばぬ劇的な出来事。
2.ライフイベント(lifeevents)
身近な人の死や離別、失業、失恋、結婚、借金など個人の人生の上での急激な変化や大きな出来事。
3.デイリーハッスル(dilyhassles)
職場での人間関係や家族の問題など日常生活の中で繰り返し起こる些細なイライラや小さなトラブル等わずらわしい出来事。
ストレッサーが要因となって生じる心や体の変化をストレス反応と言います。
ストレスと言う言葉にはこれらが包括されています。
カタストロフィーは、言ってみれば非日常的な出来事ですのでこれ以上触れない事とします。
ライフイベントとデイリーハッスルを比べると、ストレッサーとしての度合い(刺激度)はライフイベントの方が圧倒的に大きいでしょう。
しかし、ストレッサーがはっきりしているため案外ストレスに対処しやすいと言えます。
それに比べデイリーハッスルは、これと言ってすぐ思いつかないような日々の些細な出来事の積み重ねとなるため、ストレスの原因に気付きにくく知らず知らずに大きな影響を受けている事になるのです。
一般的にストレスと呼ばれるものは、このデイリーハッスルを指しています。
このような精神的なストレスに長くさらされると、精神的なダメージだけでなく身体にもネガティヴは変化が出てきます。
それが酷くなると、心身症、自律神経失調症、過敏性腸症候群、うつ病、不安障害、適応障害、不眠、胃(十二指腸)潰瘍、などいろいろな障害・疾患にかかる場合があります。
次回に続きます。
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