命の算数
中国・晋の時代に葛洪(284〜364)と言う人が、仙人の修行方法をまとめ「抱朴子」と言う書物にしました。
その中に、命(寿命)について述べている箇所があります。
寿命は本来の数が決まっており(天寿)、その数が増減する事で寿命も長くなったり短くなったりすると言われています。
天地には過ちを司る神がおり、人の犯した罪によって算(命の数/寿命)を奪います。
これは、人の体に元々いる「虫」(三尸/さんし)が庚申(かのえさる)の日に体から抜けて神様の所に行き、その人の悪行を告げる事で神様から算が奪われると言い伝えられています。
算が減ると病気や災難、貧乏や心配事が増え、算が尽きると死んでしまいます。
また、善行によって算が増えたり、過ちによって奪われた算の相殺が出来るとも書かれています。
悪行と善行は具体的にどんなものがあるか、その一部をご紹介します。
【悪行】
善人を憎み、殺生を好み、口先はきれいでも腹は真っ黒。
表と裏で言うことが違い、まっすぐなものをねじまげる。
法律を悪用して賄賂を受け、悪人を野放しにし、正直者を罪に陥れる。
人を危険に陥れることで心安らぎ、人から盗むことで大手柄をした気になる。
人のめでたい事をぶちこわし、人の愛する対象を奪い取る。
弱い者を脅し、悪い品を良い品に換え、無理に取り立てて、切り取り強盗同様にして富を積む。
好んで人の秘密をしゃべり、人のあらさがしをする。
天神地を引き合いに出して他人を呪い、自分だけが正しいと主張する。
【善行】
わが身をつねって人の痛さを知り、昆虫にも憐れみをかけよ。
人の幸運を喜び、人の苦労を哀れめ。
口は災難を招くようなことを言うな。
人が得をしたのを見れば自分が得したように思い、人が損をすれば自分が損したように思え。
偉ぶるな。自慢するな。自分よりすぐれたものを嫉妬するな。
うわべだけへつらって陰で相手を傷つけるようなことをするな。
今から1700年も前に書かれた内容ですが、これを見ると今の時代でも倫理的・人道的に正当である事が解ります。
葛洪は、長生したい、成功したい、 天から福を授かりたい、仙人になりたい者は「善行を積み手柄を立て、物に慈悲深くなければいけない」と述べています。
また、悪行を悔いた場合は悪行の倍の善行をする事によって、その罪を帳消しにする事が出来るとも述べています。
自らを省み、自覚した悪行を悔い改めると共に積極的に善い行いをすれば自分の幸せとして返って来るかも知れませんね。
[1]週刊ココロコラム
[2]TOPに戻る