動物と癒し

先日、動物番組にボクサーの亀田興毅さんが愛犬と共に出演しているのを拝見しました。
ボクシングの時の無骨で睨まれたら固まりそうな程怖い表情が一転、終始デレデレ・ニコニコしていました。
2005年の調査(ペットに関する全国世論調査)でもこんな結果が出ています。
ペットといると気持ちが癒やされることがある79%、ペットといる時の方が人といる時よりも落ち着く36%。
この結果からも解るようにに、ペットを飼っている方の多くは、ちょっと疲れていても嫌な事があってもペットの顔見ると癒されるのではないでしょうか。

ペットに限らず生き物には私達を癒す効果があるようです。
アニマル・セラピー(動物介在療法)は老若男女問わず有益な療法としていろいろな形で行われています。
例えば、イルカ・セラピーでは心の問題を抱えた子供達に有益で、世界各地で行われています。
また、高齢者の福祉施設にセラピー・ドッグが訪れた事で生きる気力が湧いたと言う高齢者も数多くいらっしゃいます。
他にも、動物との触れ合いは子供の情緒の発育に良いとも言われています。
何故、動物がそばにいると私達は癒されるのでしょうか。
いろいろな説があるのですが、その中でもまず壮大な説をご紹介します。

太古から人と動物は密接に関わっています。
命に関わる危険(例えば肉食動物との遭遇や自然災害)から身を守るために、人は自分の感覚以外にも身近な動物の態度の観察も行っていました。
動物が緊張し警戒すると人間は危機回避のための準備が出来ましたし、動物がリラックスしていれば人間も安心してリラックスする事が出来ました。
その時の「記憶」が今に受け継がれ、リラックスした動物を見ると心が安らいだり和んだりすると言う説です。
ペットや動物園の触れ合いコーナーにいる小動物達は、人に馴れていますので人が近づいても強く緊張したり警戒する事はほとんどありません。
特にペットは大事にしてくれる飼い主がそばにいると安心しますので、その姿を見る私達も安心できると言えるでしょう。

もうひとつは、人間は生物学的に見ると他の動物に比べ未熟な状態で生まれてきます。
そのため「母」に保護される、つまり抱かれる事(スキンシップ)が本能的な欲求にあると言われています。
動物を抱く事で体温や生身の感触が生来の欲求を満たしていると言う説があります。

この説に通ずるものとして「オキシトシン」と言うホルモンの存在が挙げられます。
オキシトシンは女性ホルモンの一種で、出産時に子宮を収縮させたりお乳を出しやすくする働きがあります。
アメリカの研究で、オキシトシンの分泌が母と子の絆を強くする働きがあると発表されているそうです。
オキシトシンは他者との共感、協調、信頼、そして幸福感を得るホルモンと言われています。
このホルモンは男女に限らず多くの動物にあります。
そして、動物を撫でると、撫でた人も撫でられた動物も、共にオキシトシンの分泌量が増える事が知られています。

精神的にリラックスしていると血圧が安定し免疫力やコレステロール値などにも良い影響が出る事が知られています。
実際にアメリカの調査では、心疾患(心筋梗塞)を起した方でペットを飼っている人はそうでない人に比べて1年後の生存率が高いと言う報告があるそうです。
心臓はストレス大敵ですから、ペットを飼っていない人よりも飼っている人の方がストレスがたまりにくいと言う事が言えるのではないでしょうか。

こうやって考察すると、知らず知らずのうちにペットから大きな恩恵を受けている事にあらためて気付かされますね。
ペットを飼っていない人、ペットが飼えない人は、なるべく動物と触れ合うと癒される事間違いなしですよ。

※但し、動物嫌いの人は動物に対して緊張しますので逆効果になる可能性があります。
[1]週刊ココロコラム
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