キモイの肝・その2

前回、多くの人が「キモイ」印象を受ける要素として「不潔、だらしない、暗い」等をご紹介しましたが、これらに共通するのは「見た目の印象」でしょう。
しかし他にもキモイ印象を与える傾向の強いタイプがあります。
常に無口・無表情で何を考えているか解らない人、空気や距離感が全く読めない人、他人とコミュニケーションが上手くとれない人、などです。

キモイの正体は不快感(認知的不協和)ではないかと前回お話しました。
何を考えているか解らない人や、空気や距離感が読めない人、上手くコミュニケーション出来ない人などは、多くの人が持つ一般的な「対人関係の認知」とかけ離れた態度や様子(印象)を示します。
認知と現実の矛盾は認知的不協和となり、不快感を抱きます。
同じ職場やクラス等の環境にこの様なタイプの人がいれば「交流」する機会が出てくるでしょうが、「一般的な物差し(認知)」では測れない言動や態度に対して、どう対処して良いか判らずさらに不快感が増すでしょう。
自分が持っている物差しで測れないのですから、不快感の明確な理由ははっきり解りません。
そのため、漠然とした違和感、ぼんやりとした恐怖、イライラ、気持ち悪さを覚えます。
こんな不明瞭で不明確で漠然とした感覚には、「キモイ」と言う表現がぴったりなのかも知れません。

噛み砕いて言えば、普通、一般、常識、社会通念など「一般的な物差し」からズレていたり逸脱していると「キモイ」と捉えられる傾向が強いようです。
しかし、その「一般的な物差し」は、キモイかキモくないかを判断する人自身の認知、つまり「主観」でしかありません。(ここ重要!!)

例えば、食べものを噛む時は音を立てないように口を閉じると言う観念があり、口を閉じて噛む事が常識だと思っている人は、口を開けながらクチャクチャ食べている人に対して強い不快感を抱き「うわ!!キモっ!」となります。(実は私の事です^_^;)
お行儀の点では口を閉じて噛む方が断然良いですが、空は青いとか夜は暗いのような「全ての人の常識」ではなく、私の主観であり一部の人達が常識だと思っている事です。
そんな観念のない人から見れば、ごく普通の食事シーンなのでしょう。

自分の考えが全て正しいと思っている人、偏った考えや物の見方をする人、ワガママで自己中心的な人などは、認知的不協和だけに限らず自身の不快な対象を、常識から逸脱している=キモイと捉える傾向があるようです。
別の見方をすると、キモイと言われている人ではなくキモイと言う人の方が、周りから見ると常識から逸脱している人だった、なんて事もあるのです。

キモイを多用するのは主に若年層です。
思春期から大人になる時にそれぞれが「個性」を持っていきますが、キモイと言われた事で大切な自分の個性を伸ばせない場合もあります。
人からキモイと言われると、誰でも不愉快ですし深く傷付きますよね。
もしそんな事があったなら、落ち込む前に「キモイ」を「不快」に変換して、自分のどんな部分がその人(達)に不快感を与えているのか、自分が逆の立場だったら不快になるのかをを冷静に考えてみると良いかも知れませんね。
[1]週刊ココロコラム
[2]TOPに戻る