一応責任者
某ごはん屋系チェーン店で遅い夕食を取った時の出来事です。
隣の席のおじさんがご飯の器を見て女性店員を呼び、「なんでこんなもん入っとるんだ。」 と小さな声で言いました。
女性店員は器を覗き込むとそのまま固まっています。
おじさんは店員の反応がない事で少しムッとしたのか「だから、なんでこんなもん入っとるんだって聞いとるんだ。」 と少し強い口調で言いました。
すると店員は無言でおじさんから器を奪い取り、脱兎の如く厨房へ走り去りました。
10分後、厨房から20代前半の男性が弱々しく登場しました。(以降おじさん:お、店長:店)
お「オマエが店長か!!」(待たされて超ご立腹)
店「…あのー…一応、責任者でー…。」
お「店長かって聞いてるんだ!」
店「…はぁ…一応、そういう事になりますぅ。」
お「なんで飯の中に絆創膏が入っとるんだ。え?」
店「…はぁ…すみません。」
お「スミマセンじゃないだろ!(大声)こんな指に巻いた絆創膏入れて炊いた飯をここのお客が喰っとるんだ!! (食事中の他のお客さん皆固まる)このままじゃ済まされんぞ!この責任をどうとってくれるんだ!!」
店「……はぁ…。」
お「(激昂して)保健所にこの事言ってやるからな!!即営業停止だぞ!」
店「…………。」
お「(さらに激昂して)わかっとんのか!」
店「……はぁ…。」
お「………。」
店「……………。」
お「…ここどこ系だ?」
店「?」
お「(怒鳴る)系列だ。何系列だって聞いてるんだ!」
店「……○○系です。」
お「(大声)解った。○○系だな。明日上のヤツに電話してやるからな!!」
店「…………。」
お「………。」
店「……………。」
お「(テンション急降下)…俺まだ2口しか喰っとらん。どうしてくれるんだ。」
店「は、はい。新しいのすぐに持ってきます。」
お「(さらにテンション降下)いい加減にしろよ。」
その後、苦虫を噛み潰したような表情のおじさんは交換したご飯をさっさと食べて帰っていきました。
衛生管理不行き届きの問題は飲食店の存続に関わりますので、このような場合迅速で誠実な対応が求められます。
しかし、この店の店長は、保健所やチェーン店の系列の事を言われても、その表情は何ら変わらず危機感がまるでありません。
自ら「一応責任者」と名乗ったように責任感はまるでなく、おじさんの怒号を黙って耐えてさえいれば過ぎ去ると言った態度でした。
クレームも脅しも嫌がらせも全く通じずおじさんを根負けさせるなんてある意味凄いと思いました。(^_^;)
昨日、キャリアカウンセラーのたまごの方とお話する機会がありました。
仕事への理念、モチベーション、責任感、社会人としてのコミュニケーション、自発的な行動など
かつては、仕事の中での失敗や先輩や上司の助言や叱責などから、これらを自分自身で学び体得し、社会人として成長していく過程がありました。
しかし、現代は様子が違ってきているようです。
これから社会人となる人達、或いは社会人になったばかりの人達の多くは、先ほど挙げた意識をほとんど持たず、さらに自ら学ぶような自発性も少ない傾向があるのだそうです。
まさしく先ほどの店員と店長がそのタイプでしょう。
しかし企業側の多くは、新しい人材に社会人の資質を身に付けさせるような「育成」の余裕も意識もありません。
先ほどの店員と店長はこの先も社会人の資質を身に付けられないのでしょうか。
考えてみると、昔よりも生きにくい世の中なのかも知れませんね。
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