八方美人のホントの所・その3

八方美人さんは「人から嫌われたくない」気持ちが強過ぎるが故に、必死で相手の意志や感情に合わせてしまう、と言うのは既にお話しましたね。
相手に合わせている訳ですから、必ずしも自分の意志や感情と一致していません。
しかし、八方美人さんに「あなたはどうしたいの?何がいいの?」等と問いかけても、なかなか即答出来ません。

例えば、相手が「焼肉食べたい」と言えば、嫌われないように八方美人さんは「私も」と同調します。
ホントはさっぱりとした和食が良いなと思っていても、それを言葉や態度に出してしまえば相手に不快感を与え、その結果自分の事を嫌いになるのではないかと強く恐れています。
ですから、相手に悟られないように必死で自分の意志や感情を心の奥へ抑え込みます。

自分の意思や感情を抑える事を「抑圧」と言います。
抑圧は「自分の意志や感情」を無理矢理心の奥に押し込みフタを閉めているようなものですので、抑圧してしまうと抑圧した意志や感情をはっきりと自覚する事が難しくなります。
抑圧を続けていると次第にそれに馴れ、意識しなくても自動的に抑圧がシステム化されていきますので、さらに自分の意志や感情に気づきにくくなります。
八方美人さんの多くはこのような心のカラクリを持っているため、「あなたはどうしたいの?何がいいの?」と聞かれても、なかなか答えられないのです。
その1で、『八方美人さんが本当に尊重・協力していないのは相手ではなく「自分」』と書いたのはこの事です。

八方美人の「嫌われたくない」気持ちの主たる要因として、生育環境や心が傷付いた過去の出来事などが原因となった「見捨てられる不安」や「愛されない恐怖」があります。
機能不全家族や虐待、親の過干渉や過度な期待、条件付愛情、厳しすぎるしつけなどの環境は、「見捨てられる不安」「愛されない恐怖」を抱きやすいと言えます。
それだけでなく、弟(妹)が生まれた途端両親が弟(妹)の世話ばかりして自分にかまってくれず淋しい思いをしたとか、小学生の頃に友達とケンカして親から自分だけが怒られたとか、中学生の時に親友から突然一方的に絶交されたなど、日常的な出来事からも抱く場合があります。
そして、親や愛する人からこれ以上見捨てられないように、或いは自分に繋ぎとめておくために工夫をします。
その工夫の1つが、自分の内面を抑圧し相手に合わせる八方美人の手法です。
余談ですが、いわゆる「いい子ちゃん」も工夫の1つで、自分の内面を抑圧しひたすら親の期待に応えています。

相手に合わせ続けていると、他人への依存が強くなります。
それまで気を遣って相手に合わせていたはずが、今度は相手の意志や感情がないと自分では何も出来なくなってしまうかも知れません。

もしあなたが八方美人さんなら、抑圧していた自分の意志や感情と向き合い、本当の自分に気付いて「自分を肯定」してみましょう。
そして、「嫌われたくない」気持ちで人と接するのではなく「その人が好きだから」と言う気持ちで人と接するように心がけましょう。
なかなかすぐには出来ないかも知れませんが、根気良く続けていけば少しずつ精神的に楽になっていくでしょう。

最後に、がばいばあちゃんの言葉を紹介します。
「2、3人に嫌われたってよか、反対むけば一億人おる。」
[1]週刊ココロコラム
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