シンデレラ
昔、女の子が憧れる職業の中に「お嫁さん」がありました。
お嫁さんは職業ではないと言う突っ込みは置いておいて(^_^;)、大人になると自分の人生の目的が「幸せな結婚」と言う女性が増えてきます。
20代半ば〜後半になると同級生や同僚の結婚式ラッシュがあり、親や親戚等周りの人から結婚の話を出される機会が増えてきます。
しかし、自分にはその気配もない、或いは彼が結婚の話を全く出してくれない人は、結婚に対して焦りが出てきます。
人によっては「早く結婚したいのに出来ない」事がとても深刻な悩みになります。
特に、恋人がいない女性の方がその傾向が強いかも知れません。
早く結婚したいのに出来ない女性にとって、自分が望む「結婚」とは具体的にどんなものなのでしょうか。
恋人がいない女性は、「結婚」を「恋人」に変えてみて下さい。
お金持ちでイケメンで優しくて頼もしい男性がパートナーとなり、裕福でいつも愛されている実感がある何不自由のない生活でしょうか。
1981年にアメリカの女流作家コレット・ダウリングが女性の自立を拒む要因「シンデレラ・コンプレックス」を提唱しました。
ここで言うコンプレックスは、劣等感ではなく本人が意識せず持っている考え方の傾向です。
恵まれない境遇のシンデレラは王子様に見初められ王女となりました。
シンデレラ・コンプレックスは、彼女のように「いつか素敵な王子様が前に現れて私を救い幸せにしてくれる」と言う心の奥にある本人も案外気付いていない願望です。
今の自分を他者(王子様)が劇的に変化させてくれる、つまり、他者に自分の幸せの面倒を見てもらいたいと言う依存的な意識がある事で、女性の「精神と創造性」を十分に発揮出来ず、その結果自立を阻んでいる、とダウリングは述べています。
シンデレラ・コンプレックスは過保護や教育熱心な環境で育った高学歴の女性に多い傾向があります。
有能なキャリア・ウーマンで社会人として自立している反面、他者(特に異性)に依存したい潜在的な気持ちを持っている、と言った感じです。
シンデレラ・コンプレックスを持つ女性は「自分の前に現れた他者が自分を変えてくれる」と思っていますので、自分から能動的に行動する事は滅多にありません。
「高い理想」を全て兼ね備えた男性が好きだと近寄ってこない限り、恋愛に至らないためなかなか恋人が出来ません。
シンデレラ・コンプレックスを持つ女性が結婚した場合、自分を変えてくれる王子様の言う事を必死に聞いて依存します。
自分の「精神と創造性」を十分に発揮しない状態がさらに続き、いつしか自分の意志を見失う事さえあるのです。
シンデレラ・コンプレックスの人の「高い理想」は案外具現化されていません。
それは何故かと言うと、自分の満たされない欲求を全て解消してくれる相手=王子様(理想の異性)だからです。
欲求は心の奥底(深層心理や潜在意識)にもありますので、自分の欲求全てを自分自身で把握する事は困難で、ましてや他者には解るはずがありません。
ですから「素敵な王子様が現れて私を救ってくれる」と言う願望は実現不可能と言えるでしょう。
自分が幸せになるためには、自分の欲求を把握し、自分自身で欲求の解消に努力をする、つまり「自分で幸せになる」ように能動的に行動する事が必要なのです。
「恵まれない境遇だった主人公が恵まれた境遇を他者から得るシンデレラ・ストーリー」は世界各国に古いおとぎ話として残っています。
恐らく、人々の普遍的な願望が反映されているのでしょう。
そうやって考えるとシンデレラ・コンプレックスは女性に限らず誰しもが少なからず持っている淡い願望なのかも知れませんね。
余談ですが、直接的なシンデレラの起源としては17世紀のイタリアで作家バジーレが著した「五日物語」の「灰かぶり猫」だと言われています。
あらすじは、生母を亡くし継母に酷い仕打ちを受けていた女の子(エマ)は家庭教師に悩みを打ち明けました。
家庭教師の入れ知恵で女の子は継母を殺害し、家庭教師が3番目の母となりましたが、今度は家庭教師の連れ子達がエマをいじめました。
ここから私達が知っているシンデレラのストーリーとなりますが、エマは王様(王子様)との結婚式にいじめていた姉妹を呼び、真っ赤に焼けた鉄の靴を履かせて焼き殺しています。
いわゆるシンデレラ・ストーリーとはかけ離れた、かな〜り強烈なお話だったのですね。(^_^;)
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