12の障害・その2
前回「親業訓練(Parenting Effectiveness Training/P.E.T.)」の「12の障害」のうち半分をご紹介しました。
今回は残りの半分をご紹介します。
7.同意・賛同
肯定的な判断や評価を下す
例:「そんなに大変なら辞めればいいじゃない」「そうすればいいよ」
言われたら→安易な同意や賛同と捉えると不満や不安につながる
8.侮辱
相手を見下してその人の価値を低く評価する
例:「勉強できないあなたに解る訳ないじゃない」「そんな事してるのに良く平気な顔していられるね」
言われたら→低く見られる事で自己評価が下がる
9.分析・診断
相手の動機は何かを解説する
例:「どうせ○○ちゃんに嫌われたから学校行くの嫌なんでしょ?」「ケンカはあなたの焼きもちが原因でしょ?」
言われたら→決め付けられてしまうため、本心を言い出せず心を閉ざしやすくなる
10.激励・同情
相手の気持ちを良くしようする
例:「お気の毒に、かわいそうね」「頑張ればきっと上手く行くよ。だから頑張ってね。」
言われたら→今の状況や自分が駄目な状態だと否定されているような気になる
11.質問・尋問
自分(聞く方)が問題解決する情報を相手(本人/当事者)から得ようとする
例:「なんでこんなになるまでほっといたの?」「どうしてこれ位の事が出来ないの?」
言われたら→問い詰められると本音がいいにくくなる
12.ごまかし・停止
問題から相手をはぐらかそうとする
例:「そんな事言わずにおやつ食べなさい」「暗くなるからその話もう止めよう」
言われたら→真剣に取り合ってもらえない、或いは受け入れてもらえないと感じ失望する
それぞれ簡単にご紹介しました。
12の障害の中で、「侮辱」「脅迫」「非難」などが、円滑なコミュニケーションを阻む可能性が高そうな事は理解できます。
しかし、一般的に良しとされる「激励」や「同意」も、場合によってはコミュニケーションを阻む可能性があるのです。
「12の障害・その1」の冒頭でお話した友人も、「激励」される度に、精一杯やっててもまだ足りないんだ、と感じて自分の力不足を思い知らされると話していました。
「激励」や「同意」などが「絶対に」コミュニケーションを阻む訳ではありませんが、条件(相手の受け取り方)によっては、いずれもマイナスに作用する可能性があるのです。
12の障害は「相手を自分の価値観にはめ込もうとする」傾向があるために、いずれもコミュニケーションを阻む危険性を孕んでいると言えるでしょう。
また、相手を低めたり上の立場での言動から「精神的な上下関係」を築きやすく、互いを理解し合う本来のコミュニケーションではなく、上下関係や主導権、勝ち負けなどを競り合うコミュニケーションに発展しやすい傾向があります。
理想論かも知れませんが、相手の事を思うならば、相手の立場に立つ、つまり相手と自分は「同じ立ち位置」にいるでしょうし、自分の言動は「相手主導」になるでしょう。
しかし実際は、相手が何を考えているか、どうして欲しいか、等の本当の所は解りませんから、結局は自分で「これが私だったなら」と想像するしかありません。
自分の想像の結果が相手の思いと同じならば良いですが、的がはずれると状況によっては12の障害のいずれかに当てはまってしまうかも知れません。
そうやって考えると、コミュニケーションってホント難しいですよね。(^_^;)
[1]週刊ココロコラム
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