心を写す鏡
15〜6年ほど前に、ご近所に若いご夫婦が引っ越してきました。
奥様は米倉涼子さんによく似た色白の美しい方で、なんて綺麗なんだろうと思ったものでした。
しかし、引っ越して間もなくから、泣き叫ぶ子どもを家の外に出して数時間家に入れない光景を何度も目撃したり、連日のように深夜にけんかの声が聞こえていました。
気性が激しい方なのかなと思っていましたが、しばらくするとどういう訳か嫌な雰囲気を感じるようになったのです。
出会って挨拶しても平然と無視、または睨みつける、これが15年以上経った今でも変わらずに続いています。
子どもの事やけんかの声などを他の近所の方にお話した事もありませんし、ご挨拶もしていますので、こちらに心当たりは全くないのですが、嫌われているようですのでなるべく関わらないようにしています。(^_^;)
美しい奥様は、いつもTシャツにGパン姿のノーメイクで、眉間にしわを寄せた非常に厳しい顔をして、忙しそうに買い物やパートの行き来をしています。
お洒落している所や嬉しそうにしている所、笑っている姿を目撃した事がほとんどないので、「この方には楽しい事とか嬉しい事とかないのかなぁ」と気になっていました。
つい先日、どうしても用事があったため、この奥様とお話をしました。
何年ぶりかでまじまじとお顔を拝見して、愕然としました。
眉間に深いしわが刻まれ、目と眉毛はつりあがり白目がちの厳しい目つきで、口角は下がり、まるで般若そっくりだったのです。
かつて米倉涼子さんに似ていた等と想像すら出来ない、非常に恨めしいお顔でしたので正直怖かったです。
と同時に、あんなに美しかったのに…なんて勿体無い、とも思いました。
年を重ねる度に増える「しわ」は、その部分の筋肉を使う、つまり同じ表情をしているからこそ刻まれます。
眉間にしわを寄せる苦悩の表情を多くしていれば、眉間にくっきりとしわが出来るでしょう。(目が悪くてもなりますけど^_^;)
楽しい気分の時にはにこやかな表情になるように、不満や苦悩などネガティヴな気分の時には苦悩の表情を浮かべます。
相手を見る時、好意があれば優しい目つきになりますが、恨みつらみや不平不満のある相手や、嫌いな相手を見る時は、するどく睨んだ目つきになります。
大人の顔は、こうやって内面から表情を作り、やがて顔そのものを作りこんでいきます。
内面の結果が顔つきになる。つまり、顔は自分の心を写す鏡と言えるでしょう。
余談ですが、「40歳になったら人は自分の顔に責任を持て」と言ったのは、かのリンカーンでした。
この言葉は、側近が大臣に推薦した人を、リンカーンが「顔が気に入らない」と一蹴し、側近が顔で選ぶ不公平さを訊ねた時に出てきた言葉だそうです。
他のご近所の方から伺った噂によると、先の奥様は嫁姑問題とご主人の浮気問題を抱えているそうです。
もしそれが本当だとすれば、奥様は日々耐えてずっと辛い思いをされてきたのでしょう。
しかし、ご自分のお顔は他人や境遇が作ったものではなく、自分の心が作ったものですし、自分の心の結果です。
この15年の間に、ご自身で改善や問題解決をするとか、自分から心の持ち方を変えるなど、何らかの努力をされていれば、もっと良いお顔になっていた事でしょう。
もっと良いお顔だけでなく、もっと良い人生が送れたのではないか、そう考えると勿体無いなぁ、と余計なおせっかいながら思ってしまいました。(^_^;)
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