研究と仮説

様々な研究者が、日夜様々な研究にまい進しており、科学の進歩は未だ日進月歩の状態と言えるかも知れません。
しかし、人間の心や意識に関しては、まだまだ解らない事が多いですね。
今回は最近発表された人間の性格や精神状態に関しての仮説と研究結果をご紹介します。

■パパとママになる前から?
こちらはメキシコのHalabe Bucay博士が提唱した仮説です。
妊娠期や授乳期の母親の心理状態が子供に影響を与える事はこれまでも言われてきました。
この仮説はもっと前の段階の、子供が命を授かる前の父親・母親(になる人)の心理状態が子供に影響すると言うものです。
脳内物質やドラッグ等が、その時点で体内で作られた精子や卵子に影響し、精子や卵子の遺伝子パターンを左右する事が既に解っていますが、それらだけでなく、心理状態(幸福感や憂うつ感など)も同様の影響があるのではないか、と言うものです。
博士は「もちろん、育児中の両親のふるまいが子どもに影響することや、両親からうけついだ遺伝子が子どもの性格を決定する一因となることは広く知られています。わたしが今回提唱しているのは受精前の両親の心理状態が実際に子どもの遺伝子に影響する可能性です。」と述べています。
まだこの説は仮説の域を出ていないものですが、こういった形で親の意識が子供に伝わる可能性があるのならば、愛し合う幸福感が子供に伝わるなんて素晴らしい事ですね。
ですが、様々な理由から全ての親が幸福感を子供に伝える事は難しいかも知れませんね。

■脳のタイプ?
イギリス・ハル大学のAnnalena Venneri教授が、85人の被験者の脳の形状と性格の関連性を調査しました。
すると、脳の特定の部位が平均よりも大きいとか、小さいと言った脳の形状によって4つの性格傾向に分類されている事が解ったそうです。
・新しいものを追い求める性格
・害を回避しようとする性格
・報酬に依存する性格
・固執する性格
まだ研究中のため、脳の形状と性格傾向の分類までしか解っていない、何故その形でその性格になるのかは解明出来ていないそうです。
脳の形で性格傾向が解るならば、そのうち見合いや入社の人物調査や、子供の性格傾向を把握して教育方針を決めるために、CTやMRIの脳の画像が使用される、なんて事になるかも知れませんね。

■神経伝達物質のタイプ?
アメリカ・ワシントン大学のクロニンジャー博士は気質を4つに分け、そのうちの1つは当初から脳内の神経伝達物質との関連性を想定していました。
その後、この理論に関して現在も様々な研究がされており、徐々に気質と脳内の神経伝達物質との関連性が明らかになりつつあります。
その気質と脳内の神経伝達物質との関連性とは
・新奇性探究(新し物好き)→ドーパミン(ドーパミン受容体D4遺伝子)
・損害回避(心配性)→セロトニン(セロトニン受容体orセロトニン・トランスポーター)
・報酬依存(社会的)→ノルアドレナリン
・固執(物事にこだわる)→今の所不明
こちらもまだ研究中ですが、今後関係性がはっきりすれば、これらの神経伝達物質を投与する事で気質の改善や精神疾患などにも有益かも知れません。

このような様々な仮説や研究結果を見ると、玉子が先かニワトリが先かと同じで「はじめに心ありき」なのか「はじめに脳ありき」なのか解らなくなってきますね。
[1]週刊ココロコラム
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