自意識過剰のカラクリ
誰でも「自分が他人からどう見られているか」を考えるのはごく自然な事です。
それがあるからこそ、かしこまった場所ではスーツを着て髪型を整えるでしょうし、厳粛な席でお酒が出されても酔いつぶれないようにセーブしようとするでしょうし、グループのリーダーに選ばれた時はリーダーらしく振舞うでしょう。
他人からどう見られているかを意識する事は、その場その場に応じた身だしなみや言動に気を配る事につながり、結果的に他人とのコミュニケーションを円滑に行う姿勢につながります。
これはオトナにとって必要な要素かも知れません。
一方、自分が他人からどう見られているのかについて「気にし過ぎる」「不安で仕方がない」になってしまうと、結果的に他人とのコミュニケーションが上手くとれなくなりますので、オトナにとって辛い要素となります。
これが「自意識過剰」です。
自意識過剰な状態になると、自分らしく振舞う事が出来なくなってしまいます。
例としては、片思いの初期の状態が解りやすいと思います。
何かのきっかけで同じクラスや同じ職場の特定の異性に恋心を抱いたとします。
他の人と同じ仲間のひとりだと思っていた頃は、その人に対する自分の態度はそれほど心に力がかかっていない状態です。
しかし恋心を抱いてからは、その人に対する自分の態度は心に力がかかりギクシャクとしたものになってしまう傾向があります。
その違いは何かと言うと「嫌われる事に対する恐怖や不安」です。
仲間のひとりならば、相手に少々迷惑をかけて不快な思いをさせたとしても、仲間の一員同士として互いに上手く接する事さえ出来れば、それほど問題はありません。
しかし、相手に恋心を持っていると、その相手に嫌われる事が大きな恐怖となります。
そして、相手にほんの少しでも不快な思いをさせてしまうと、自分の事を嫌いになるのではないかと不安になります。
その相手と接する度に「こんな事をすると嫌われてしまうんじゃないか」「こんな事を言うと嫌われないか」と言う強い思いが心を支配してしまうと、自分から動けなくなってしまいます。
さらに「自分に好意を持って欲しいから自分をより良く見てもらいたい」と言う気持ちが強くなります。
その結果、自分らしくない不自然な態度やギクシャクした言動になってしまいます。
だから一生懸命気持ちを隠していても、好きな相手が周囲にすぐバレたりするんですけどね。(^^)
自意識過剰な状態は、常に心に力が入り、緊張して気を張っている状態です。
意中の相手ひとりに対してだけならば、それも緊張感があって良いかも知れません。
しかし、時々「他人全般」に対して自意識過剰な方がいらっしゃいます。
周囲にいる人全員に対して、「(自分に好意を持って欲しいから)自分をより良く見てもらいたい」と言う強い気持ちと、「こんな事をすると嫌われてしまうんじゃないか」「こんな事を言うと嫌われないか」と言う強い思いが心を支配し、常に心に力が入り、緊張して気を張っている状態なのです。
そして、本来の自然な自分ではない、不自然でギクシャクした自分を他人に見せている事になります。
これでは人と接する度に心が疲れてしまいますね。
「他人からどう見られているか」は、本当は「他人の目から見た自分」ではなく「他人を通して自分で作った自分像」なのです。
もし、人と接する時に人からどう見られているか不安で心に力が入ってしまう方は、このコラムをちょっとだけでも思い出してみて下さい。(^^)
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