ベストを尽くす
「ベストを尽くす」はスポーツの世界や体育会系などで良く耳にすると思います。
元々は英語の成句「Do Your Best」から来ているようです。
ベスト(Best)は「最上、最良、最優秀、最善、全力」等ですので、平たく言えば「最善を尽くす」と言う意味の言葉です。
今回はこの言葉を考察します。
求められる結果や成果を出す事自体がベストを尽くす訳ではありません。
努力しなくても出来てしまえばベストを尽くすまでに至りません。
一方、求められる結果や成果を出さなければとプレッシャーを強く感じてしまうと、緊張や萎縮から普段の力が発揮できませんから、結果的にベストを尽くせません。
もうひとつ。
ベストを尽くすと言うと、限界を超えてまで死に物狂いで取り組むようなイメージを持つ方もいらっしゃるでしょうが、そうではありません。
自分の持つ力を最大限発揮して物事に取り組む事です。
しかし、「自分の持つ力」がどの程度なのか、「最大限発揮」がどこまでか、これらはなかなか本人にも解りません。
そのため、自分に厳しく許容量を超えて頑張り過ぎる人もいれば、自分に甘く力を発揮するまでに至らない人もいます。
特に自分に厳しい人は自らに高い結果や成果を求める傾向がありますので、思うような結果や成果を出せずに自信喪失やモチベーションの低下につながる場合があります。
また、頑張り過ぎて無理を続けて体調を崩してしまうと、ベストを尽くせなくなります。
そうやって考えると、ベストを尽くす「加減」って難しいですね。
経験された方もいらっしゃると思いますが、失敗や困難を乗り越えベストを尽くし、それをやり終えた時に、感極まって涙がこみ上げる感覚になる事があります。
ベストを尽くすと、自分自身に対しての達成感や満足感などが得られますので、心の底から喜びの感情が湧いて来ます。
このような達成感や満足感の喜びは、人にとって非常に大きな喜びとなるため、ベストを尽くした取り込みの多くは「感動した事」「忘れられぬ体験」「生きがい」等になります。
しかし、ベストを尽くさなかった場合、結果や成果に満足する事はあっても、自分自身に対しての達成感や満足感はほとんどないため、先のような喜ばしい心の動きは起こりません。
アルピニスト(登山家)は自分が無理なく登れる山のレベル(標高やルートの険しさ等)を知っています。
その上で、自分の限界に挑戦できる山を目指します。もちろん無謀過ぎる挑戦はしません。
ベストを尽くす「加減」が解るのは、今まで多くの山に登り、達成感や満足感を得て来た経験があるからでしょう。
登った山は目で見てある程度は解るでしょうが、私達の生活の中では目で見て解らない結果や成果が数多くあります。
なにかをやり遂げた時、結果や成果の良し悪しはひとまず置いておいて、自分の心に問いかけてみましょう。
やり遂げた時に自分に対して「ヤッター!」と言う喜びや感動を感じられたならば、それが「ベストを尽くした」結果と言えるでしょう。
[1]週刊ココロコラム
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