恋愛依存症・その4〜依存症の背景〜

ここまで、恋愛依存症の行動パターンなどを紹介してきましたが、そもそもどうして恋愛依存症になってしまうのでしょう。
人は誰しも、動物のように睡眠と食事を摂るだけで時間を過ごす訳ではありません。
何らかの人間関係や人や物事のつながり、社会の一員としての役割があります。
そのために必ず何かに少なからず依存をして生きています。
そして人は、自分が世の中で必要とされている、誰かに必要とされていると判れば生きる充足感を得る生き物です。

乳児の感情は「快」「不快」から始まり、成長していく過程において段階的に心理的な発達をしていきます。
しかし、この発育段階の中で未熟なまま次の段階に進んでしまうといつまでも自我の中に残ります。
例えば乳幼児の頃に体験する「基本的信頼関係」を十分に得られずに発達した場合、自分を愛せなかったり受け入れる事が出来ないまま成長していきます。
また、子供の時に親からの愛情を受けられない、または受けていないと感じると「自分は愛されていない」→「自分は世の中で必要とされていない」→「自分は生きている価値が無い」と考え、激しい自己否定が生まれます。
この考えを持って成長をすると、生きている実感を得るために、誰かに必要とされる事実を自分で知りたいと感じます。激しい自己否定を打ち消すためには、これらの気持が強迫的ですらあるのです。

顔色を伺い親の喜ぶような事を進んでする子供は、既に「何かをしないと愛されない」と感じています。こんな感情を持ったまま成長した人は、自分の事より相手の事を優先し、他人を助けたい気持が非常に強くなります。
「必要とされていない自分」を打ち消すには、人に喜ばれ自分が必要とされている実感を得たいからです。
これは別の言い方をすると「相手次第」となり、依存症に陥りやすいタイプになります。
一方、回避依存タイプも同じような過程で成長していきます。
しかし、生きている実感を他のものに求め、ひたすら趣味や仕事など別の方面で打ち消そうとします。
そのため人間関係を自ら希薄にする傾向がありますが、人から必要とされている実感を得たいと言う本質は同じなのです。
なお、他の要因から発症するケースもあると言われいますが、今ご紹介したものが一番多い原因です。

これらの感情は強く深いものです。また、自分で気付かない事も多く依存症を悪化させ、他の依存症も合わせて併発してしまう場合もあります。
他にも肉体の接点だけで安心感を得ようとするセックス依存症や、刺激だけを重視してドロドロな恋愛関係を次々に続けるロマンス依存症などもあるとされています。
また、恋愛依存症者はどちらも人間関係を上手く築く事が出来ない為、対人関係のトラブルも多いです。
最後に、依存症は心理カウンセリングやメンタルヘルスで適切なアドバイスをしてもらえば必ず治ります。
自分や周りで気になる人がいれば、まずは気軽にカウンセリングに行ってみると良いでしょうね。
[1]週刊ココロコラム
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