吉野家を考察する
私は牛丼大好きで、その中でも断然吉野屋派なのですが、先日「なか卯」「すき屋」でとうとう牛丼メニューが消えてしまいました。
残る代表的な牛丼チェーン店は吉牛、松屋と言った所でしょうか。
とうとう吉牛好きには来るべきXデーが見えてきました。そこで、今回は吉野家を考察してみたいと思います。
吉野家は100年以上の歴史がある牛丼チェーン最大手企業です。
1953年に(株)吉野家となり、「早い・安い・うまい」をモットーにどんどんチェーン展開をしていきました。
しかし、どちらかと言えばインフレだった時代に安さを追い求め過ぎた為か品質を落とす結果となり、1980年に倒産してしまいました。
倒産して、再成功を収めている企業はほとんどない中、吉野家は見事に甦りました。それもご存知のように業界最大手です。
まずかった味も、熱烈吉牛ファンが出来る程向上しました。
再建後、1992年グループ企業の不祥事で社長の交代もありました。この社長交代による新体制で、特盛りが生まれ大ヒットしました。
そして、2004年。BSEによる米産牛肉輸入差し止めです。
いずれも全て「申年」の出来事で、「吉野家申年危機説」等とマスコミに良く取り上げられていますからご存知の方も多いと思います。
しかし大きな危機以外にも、競合企業の参入や、ハンバーガー等ファーストフードの急成長、ヘルシー志向、デフレの低価格競争などいつも危機と隣り合わせの厳しい状況があった事も忘れてはならないでしょう。
一度「死んだ」企業が、ここまで成長した吉野家の歴史を見ると「ピンチをチャンスに変える」と言うキーワードが見えてきます。
私達にも、例えば仕事でとんでもない失敗をしてしまったり、自分のせいで誤解をまねいて相手とも関係を気まずくしてしまったりと言った「大ピンチ」の時がありますよね。
そこで「あ〜駄目だ」と思ってしまうと、そのピンチが重くのしかかり身動き出来ずに絶望的な終焉を迎えてしまうでしょう。
こんな時こそ、ピンチをチャンスに変える絶好の機会なのかも知れません。
今回の米産牛肉輸入差し止めで、吉野家はカレー丼、焼鶏丼、いくら鮭丼、豚キムチ丼、マーボー丼と言った新メニューを即座に開発・販売する対処法をとりました。(1/28現在)
牛丼屋が牛丼を販売出来ないと嘆くだけだったなら、店を閉める事しか出来ないでしょう。確かに以前の社長会見では「最悪は営業停止」と述べていました。しかし、値段は高くなったものの牛丼以外の新商品で勝負をしてきました。
吉牛好きには、逆に一時的にしか食べれない「吉野家の別メニュー」が珍しがられるかも知れません。牛丼が好きじゃない人もカレー丼なら食べに行けるかも知れません。牛丼が再度販売できるようになった時に、もしかしたら別メニューは人気で定番になるかも知れません。そうなれば牛丼を食べない層の取り込みも可能になるでしょう。
営業停止は企業の基盤をも揺るがす大損失ですが、この決断は間違いなくビジネスチャンスです。
そして、恐らくこの危機をどの競合企業よりも一番上手く乗り切ることでしょう。
私達もピンチに遭遇した時、一度潰れた牛丼屋を思い出して「諦めない心」で危機を乗り切ってみたいものですね。
[1]週刊ココロコラム
[2]TOPに戻る