血液型占い

先日、テレビで血液型と気質の違いを取り上げていた番組を見ました。
その中で幼稚園児を血液型でグループ別けし、それぞれに「家」を作ってもらう実験をしていました。
A型は見た目も中身も家らしい作りに対してAB型は「個人の部屋」が繋がっていて、各自がバラバラな事をしていました。
いわゆる血液型占いで言われる所の特徴があまりにも見事に出ていたので、見ていてつい笑ってしまいました。
そして、「血液型占い」は数奇な運命を辿っているなぁとしみじみ思いました。

サブカルチャーがもてはやされた1970年代、彗星の如く現れた「能見正比古」と言う人がいました。
膨大な数のサンプルから割り出したデータを丹念に分析し分類した後、1976年に「血液型でわかる相性」と言う著書を出版しました。この方が血液型占い(ホントは血液型人間学)の元祖なのです。
その後、次々に血液型関連の著書を出し、マスコミも頻繁に取り上げるようになりました。
多くの人々に受け入れられる一方、科学者や知識人からの批判もありました。
能見さんは、その後の多忙な日々の為か81年に急逝されました。
その後は、息子さんである能見俊賢氏が後を継いで研究されています。

80年代は、世紀末の気配のせいかあちこちに「占いの館」が出現した程の占いブームでした。
そして、この占いブームに血液型人間学も呑み込まれ、多くの占い師が「血液型占い」を取り入れるようになりました。
その反面、ただ批判するだけだった反対派側が、非科学さを体系付けた為「能美バッシング」が活発になり、 80年代後半になると、「血液型占い=ナンセンス」の風潮が大勢を占め、結局世の中から姿を消す事となったのです。
しかし、多くの人々の中にある「A型は几帳面」とか「O型はおおらか」と言った血液型で人の気質を判断する意識迄は姿を消す事はありませんでした。

90年代に入り、ポツポツとCMや雑誌に再び取り上げられるようになりました。
ブームにならずとも血液型占いがそれまでのなりゆきを知らない若者の心を捉え、確実に浸透していきました。
そして21世紀。遺伝子研究を初め生物化学が発達し、かつてナンセンスと言われた血液型で人の行動パターンが分類される事が肯定されつつあります。
一時期は否定され世の中から抹殺されていた血液型人間学を、変わらぬ信念で研究し続けて来た能美さんもざぞやお喜びの事でしょう。

こうやって歴史を振り返ってみると、今否定されている事でも未来では肯定される可能性があるのです。
これから未来に驚くようなどんでん返しが待っているかもしれないですね。

(追記)
昭和初期にも現代史学の学者で、民族性の見地から血液型で行動が違うと説いた古川竹二と言う方がいたそうです。
しかし学会に発表して大批判を浴びた末、この説は世に広まる事なく葬り去られてしまったそうです。 きっと時代が早すぎたのかもれないですね。
[1]週刊ココロコラム
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