自我と自己主張

私達はいろいろな場面で行動を「する」事と「しない」事を選択出来ます。
同時に心の中では「したい」事「したくない」事の選択も起こります。
見たい映画を観に行くことは「したい事をする行動」、嫌いな人と喋らないのは「したくない事をしない行動」ですね。
たまった宿題を片付けるのは「したくない事をする行動」、急な仕事が入って遊びに行かないのは「したい事をしない行動」です。
大きく分けるとこの4つに分類される行動と欲求の関係で、前に述べた「したい事をする」や「したくない事をしない」のは自分の欲求通りの行動で、心にストレスを何ら感じないものです。これは実現的自己コントロールと呼ばれている自己主張の正体です。
しかし、後で述べた2つは欲求と行動が相反しています。これは自己抑制的コントロールと呼ばれています。

日本人は民族性に深く根ざしている「言いたい事をはっきり言うのは良しとしない」考え方もあり、自分を素直に出すだけでいい本来は簡単なはずの実現的自己コントロールの発達が、アメリカや中国の国民に比べると未熟で、逆に自己抑制的コントロールは成長につれ右肩上がりで発達しているのだそうです。
自己抑制的コントロールは、社会のルールに従って生きるには大切な要素です。
例えば、もっと寝ていたいが仕事に行くために起きる、正しいと思わないが上司の命令だから従う、風邪でしんどいが病院で順番待ちをする等、例を数え上げたらキリがない位ですね。
しかし自己抑制的コントロールばかりでは、常に抑圧された状況下に置かれ、心と行動とのギャップから仮面を被った様な性格(自分を素直に出せない)になったり、酷い時には引きこもりやうつ病になる場合もあります。
また、実現的自己コントロールばかりでは、「わがまま」な人以上に身勝手で社会に適合しなくなってしまう場合もあります。
状況によってこの2つの自己コントロールの使い分けが出来る自律性を持つ事が健全な自己に繋がるのです。 言うのはたやすいですが・・・ホント難しいですね。(^^ゞ

先に述べたように実現的自己コントロールが未熟な多くの日本人は「したい事をする」「したくない事をしない」を前面に押し出す事が上手く出来ません。
これを上手く表現出来るようになれば、2つの自己コントロールの使い分けも上手く出来るようになるでしょう。
だからと言って、「寝不足だったのできちんと寝てから出社しました」と遅刻をして良いものでもありません。
社会人には自己抑制的コントロールで自分を抑制する事が大切でしょう。
しかし、抑制ばかりで息がつまる前に、時には解放させる事も必要です。

次回は主に対人関係でうまく自己主張(アサーティブ)をする方法の考察です。
いつも誰にでも何にでも気を遣っている人、本当の自分を素直に出せない人、言いたい事が言えない人、自分の考えや意思で行動出来ない人、いつも「○○しなければならない」と思っている人に是非読んで欲しいです。(^^)
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