私はこう思う・その1

A子さんのアルバイト先のお店にBくんという新人が入ってきました。
新人に仕事を教えて欲しいと店長直々に頼まれたのでA子さんは俄然張り切りました。
Bくんはなかなか仕事に慣れません。特に初めての接客が上手く出来ないようでした。
その都度A子さんは「お客様に対してタメ口で話さないで」とか「Bくん姿勢悪いからお客さんの印象悪いよ」とか「もっとキビキビ動かないと。嫌々仕事してるみたいじゃない」等とアドバイスをしていました。
そして3日目にBくんは1時間遅刻をして来ました。店員が少なくてA子さんは接客に大忙しでした。
A子さんは「開店時間も知ってて、人が足りないの解ってるのに、1時間も遅刻するなんてBくん、仕事に対する意識が低すぎるよ。もっとしっかりして。」とゲキを飛ばしました。
1週間経っても仕事に慣れないBくんにシビレを切らしたA子さんは「Bくんは接客出来ないから倉庫作業して」と指示しました。
結局Bくんは翌日からお店に来なくなりました。

A子さんはBくんに早く仕事を覚えて頑張って欲しいと言う気持ちがありました。一生懸命アドバイスしたりゲキを飛ばしたりしていましたが、残念ながらBくんには届かなかったようです。
A子さんのBくんに対しての発言を見て、多くの方は「高圧的」に感じたと思います。この発言こそ「YOUメッセージ」です。

YOUメッセージとは心理学の言葉で、相手に向けられる「YOU」が主語になった言葉です。
「あなたは○○だ」と決め付けるような感じで、主に監督者や上位の立場からの視点を絶対的、断定的に伝えている言葉です。
先のA子さんはBくんに「姿勢悪いからお客さんの印象悪い」と言っていましたね。
これは姿勢の悪さ自体は「事実」で、「あなたの姿勢の悪さがお客さんに悪い印象を与えている」と「断定」しています。
言われたBくんは姿勢が悪い事は事実のため、断定されたメッセージに対して返す言葉がありません。自分の気持ちはどうであれ従うしかないのです。
その上、遅刻をして来た時に「仕事に対する意識が低すぎる」と断定されました。
仕事に遅刻をする事自体は大変よろしくない事ですが、Bくんなりの事情があったかも知れません。しかしその事情を話すスキすらありませんでした。

YOUメッセージは親や先生、上司などが知らず知らずに使っている事が多いです。
この発言が多いと下の立場の人は「服従」せざるを得なくなります。それと同時に自分の意見や存在意義を無視している事で反発心も生まれ、ウザイ親やうっとしい上司、嫌われる先生と言う印象を与えてしまうのです。
しかし、明確な立場の上下関係だけにとどまらず、誰でも相手に対して不満をぶつける時にYOUメッセージを使う場合があります。
例えば、恋人に対して「だからあなたは○○なのよ!」とか「なんで○○してくれないの」とか、友人に対して「あなたって○○ね」等。思い当たる事はありませんか?(^^ゞ
YOUメッセージを多用していると、相手との関係が上手く行かなくなる可能性がある事は容易に想像出来ますね。
次回は、相手との関係が上手く行くパターンの「Iメッセージ」をご紹介します。
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