省みる・その1

小学校の卒業式の後、担任の先生から言葉を書いた短冊をもらいました。
それは、生徒ひとりひとりに対して渡されたもので、私が貰った短冊にはこう書いてありました。
「自己を省みる」
意味どころか「かえりみる」と言う読み方さえ判らなかった記憶がありました。(^^ゞ

省みるを辞書で調べてみると、1 過ぎ去ったことを考える。2 気を配る。気遣う。心配する。3 後ろをふりむいて見る。4 たち帰って見る。もどって見る。とありました。
短冊に書かれていた「省みる」は、恐らく4番目の意味かな?なんて今は思っています。

宗教の浄土真宗から分かれた分派の教えに「身調べ」と言う修行があります。
信心深い両親に育てられた吉本伊信と言う人が、この身調べに没頭しました。
そして、この素晴らしい「省みる」体験を多くの人に知ってもらいたいと思いました。
そこで身調べから一切の宗教色をなくし、誰もが体験できるように考え出されたのが「吉本式内観法」です。
現在、この内観法は神経症、心身症、薬物依存などに特に効果があるとされ精神医学的な療法として使用されています。
それだけでなく、対人関係に問題のある人や、自己啓発としても有益な方法として、教育や会社の研修などにも使われています。

内観法には2つあります。2つのうちメインの「集中内観」がどんなものなのでしょうか。
研修等でよくあるパターンをご紹介します。

病院やお寺、吉本式内観法専用の研修所に1週間泊り込みます。
この時外部との情報を一切断ち切ります。携帯メールは勿論テレビも新聞も一切ない状態です。
そして、自分ひとりだけの状態になり、カウンセラーから出された「お題」についてほぼ1日中考えます。
基本的に最初に出るテーマは、あなたが母親に対して

1.してもらった事
2.してあげた事
3.迷惑かけたこと

この3つです。
例えば、1では「小1の時に遠足で足をくじいた自分を迎えに来てくれた」
2では「中1の時母が風邪で寝込んだからおかゆを作ってあげた」
3では「小5の時反発してプチ家出をした」
と言ったエピソードをひたすら思い出す作業をしていくのです。

思い出された内容を時折カウンセラーに報告し、適切なアドバイスをもらいます。
このテーマは母親に対してだけ行うのではなく、自分に関係する人物(家族や知人友人等)に対しても行います。
しかし、相手が誰であれ1〜3のテーマは不変です。

外の世界と離れて1週間、ひたすら思い出す作業を繰り返すとどうなるのでしょうか?
次回に続きます。
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