欠如
偶然、こんな資料を見つけました。企業から見た、新入社員採用に関するものです。
★企業が採用したい人物の性格及び行動特性
明るくバイタリティーがある、若者らしいひたむきさと柔軟性がある、反応が良い(感度・勘の良さ) 、好奇心旺盛で先端技術に即応できる、フェアで誠実である、物事に前向きに取り組む、困難にめげない(打たれ強い)、チャレンジ精神をもって行動できる、機敏で迅速な状況判断ができる、広く物事をみることができる
★一般的に忌避されやすい定性要因(別に学生に限らないが)
表面的な思考・本質を捉えようとしない姿勢(思考の欠如)、自分の行動について及ぼす影響がわからない(想像力の欠如)、自ら考えることがそもそもできない、しない(自立及び決断力の欠如)、他人とコミュニケーションをとるのが苦手(コミュニケーション能力の欠如)、社会的なマナー、社会性が思考から欠落(思いやりの心の欠如)
※「企業が求める学生像考察例」(文部科学省のホームページ内)の中から一部抜粋及び編集
採用したい人物のパーソナリティを見ると、ちょっと高望みしすぎのような気がしますね。(^_^;)
一般的に忌避されやすい要因は、会社に限らずあまり身近にいて欲しくないと多くの人が思うタイプの要素が満載です。
しかし、程度の差はあってもこのような傾向を持った方は案外身近にいる事があります。
何故、人によって思考の欠如、想像力の欠如、自立及び決断力の欠如などが起るのでしょうか。
何かを考える時、今までの経験から得た知識を引き出して「何か」である新しい情報と、経験から得た情報とを比較・分析するプロセスがあります。
また、実際に行動し心の動きが伴って、はじめて想像力が発達すると言う事が心理学の研究でも明らかになっています。
これらの事から、思考の欠如・想像力の欠如は、発達段階でいろいろな行動(経験)や心の動き(感情)をあまり経験していないために起るのです。
子供の頃に、友達と取っ組み合いのけんかをして痛い思いをした経験を持っているのと、格闘ゲームしか経験していないのとでは、人を殴るとどうなるかを考えたり、人の痛さ加減を想像する際に違いが出る事は明白ですね。
また、自立及び決断力の欠如は、発達段階で自発的に物事を決めたり、自分で選択をする経験が少ない環境で育ったと考えられます。
つまり、保護者が子供の事を全て決定したために、自分で物事を決定する機会が与えられなかったと言う訳です。
コミュニケーション能力の欠如、思いやりの心の欠如は、発達段階で人との関わりが希薄な環境や、保護者からの愛情を十分に受けられない環境で育ったと考えられます。
これら「〜の欠如」の要素を持ちあわせている強い傾向を示す典型的なタイプが、アダルトチルドレン(第71〜72回「傷付いた子供の私」参照)です。
アダルトチルドレンは、発達段階から以下のような特徴を持つ親(または保護者)の影響を受けています。
支配的な親・過保護/過干渉な親・管理しすぎる親・過度な期待をかける親・条件付きの愛(子供が親の意に沿ってはじめて愛を与える)・ダブルバインド(第184〜5「二重拘束」参照)・無関心な親・自分の所有物のように扱う親・放置(ネグレスト)・虐待(身体的・精神的)・夫婦の不和や離婚家庭・夫婦間の暴力(DV)など
また、不登校や引きこもり、家庭内暴力や若者の凶悪犯罪等も、このような児童期の養育環境・親子関係が密接に関係しているとも考えられています。
資料には「一般的に忌避されやすい」と言われていますが、これらの「〜の欠如」の要素を持つ人は悲しいかな本人が望んだ結果ではありません。
また、本人がそれらの要素が欠如している事に気付かない人も多く存在し、日々社会生活に生きにくさを感じて悩みを抱いているでしょう。
もし会社や身近にそんなタイプの人がいたら、この事を思い出してイライラせずに接してみてください。
もし、あなたがそんな環境で育ったのならば、親や環境に対して嘆かず恨まず、これからの幸せのために今の自分を観察してみましょう。
[1]週刊ココロコラム
[2]TOPに戻る